それと同時に、劇中歌であり主題歌である『Let It Go』は今や、テレビ番組・CM・ラジオ・コンビニや店舗BGMなどで聴かない日は無いというほどの人気を見せている。
もう見飽きている人も多いと思うので、さわりだけ見ていただければいい。
その映像を観た初めての媒体が銀幕だったというのも大きかったのかもしれない。
女王の悲痛、苦悩、葛藤とそこから立ち直ろうとする(立ち直ったわけではないと解釈した)姿が、そこには最高のスケールで映しだされていた。
いったい何がこの女王をこんなにも追い詰めたのだろう。
この女王はこの後、どう生きていくのだろう。
そのヒットと同時に『Let It Go』とその吹き替えである『ありのままで』の内容の違いがネット上のあちらこちらで論争の種になっているのはご存知だろう。
私もやや遅ればせながら、この場を借りてこの論争に参加させてもらうことにする。
『アナと雪の女王』との出会い
私がこの映画と最初に出会ったのは、劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』を観に行った時のことである。よくある映画の予告の一つとして、『アナと雪の女王』も流れたのだ。
映画の予告などたいていは本編に対してのCM程度の扱いに過ぎず、私も目と耳を映画のサイズに慣らす程度でしか捉えていなかった。
しかし、この予告は明らかに異質だった。
もう見飽きている人も多いと思うので、さわりだけ見ていただければいい。
何が言いたいかというと、つまりこの映画の予告は映画内劇中歌『Let It Go』のワンシーンをノーカットで丸々使うというだけの映像だったのだ。
最初と最後にかろうじてクレジットが入っていることで予告という事が理解できるが、従来の予告にあったメインシーンのハイライトやそれに追随するナレーションなどの一切を排している。そして映画の予告としてはかなり時間が長い。
アイマスの映画を観に来たはずだったのに、確かにこの4分弱の間、私は『アナと雪の女王』を観ていた。何の心の準備もしていなかった、油断していた脳内に、いきなりクライマックスシーンをたたきつけられたのである。
――厳密にはクライマックスシーンでは無いが、映画全体を見通してもやはりここが一番の山場だったと言える。
『Let It Go』のシーンの完成度は、映像、音楽、演出どれを取っても非常に高い。
やや皮肉的な表現を含むと、『Let It Go』のワンシーンは映画から独立して完成されてしまっていると言える。4分弱のMV(ミュージックビデオ)だ。
そしてこれは何も身構えていない人間を惹きつけるのに、充分すぎるクオリティだった。
――人は、特にアニオタだの趣味は映画鑑賞だの言う人種は、前評判やらスタッフが誰やらという色眼鏡で武装し、話題作相手には斜に構えて観る傾向にある。私もおそらく例外ではなかっただろう。そういった意味でも、当時私がこの映画の存在を何も知らなかったのは幸福だったのだろう。
その映像を観た初めての媒体が銀幕だったというのも大きかったのかもしれない。
女王の悲痛、苦悩、葛藤とそこから立ち直ろうとする(立ち直ったわけではないと解釈した)姿が、そこには最高のスケールで映しだされていた。
いったい何がこの女王をこんなにも追い詰めたのだろう。
この女王はこの後、どう生きていくのだろう。
こうして私はディズニーとピクサーのおそらくは史上最高傑作の映像をみせられ、『アナと雪の女王』公開初日に再び映画館に足を運ぶ事となった。
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